なぜ?よくされる質問

なぜ・・・?

生徒さんは「Why?」と質問するのが好きですね。「なぜ、日本に来たの?」「なぜ、日本が好きなの?」「なぜ、英語の先生になったの?」――どれも素晴らしい質問だなぁと思います。そこにはきっと、想像もつかないような素敵な答えがありますから。しかしながら、私はたいてい短く簡単に返答してしまいます。その答えをイチからすべてお話するには、あまりにも時間が足りないからです。でも、こうやって文字で書くなら何も制限されることはありません。無限に広がるネット空間に、納得のいくまで文字を打ち込めます。では、さっそく。

「なぜ、日本に来たの?」――週に1度は聞かれる質問です。新しい生徒さんからはたいていこの質問をいただきます。近所の人や、友達や、会う人会う人にこの質問をされます。皆さんは”挨拶代わり”に聞いているそうなのですが、私にとっては全然挨拶代わりの質問ではありません。例えば、「お元気ですか?」とか、「何を読んでいるの?」とか、「いい天気ですね」とか。これが”挨拶代わり”の質問だと思います。「なぜ、日本に来たの?」と挨拶代わりに聞かれたときは、私はいつも簡潔に「妻が日本人なので。」と答えます。それでたいていの方は納得してくださいますが、実はそれだと私の方が消化不良になっています。本当は、もっと詳しく理由を説明したい!私がなぜ母国を離れ、ほぼ地球の裏側にある国に、ほぼ何も知らない何もしゃべれない状態で来ることにしたのか。その決断に至ったプロセスも話したいのです。

もちろん、私の妻が日本人であったことは、日本に来た大きな理由です。でも、それなら妻が私の国に来てもよかったはず。私たちにはどちらの国に住むかという2つの選択肢があって、どちらか1つに決めなければいけなかった。2つの国のうちどちらに住むか、どうやって結論を出したのか。

この問題には、様々な解決方法が存在します。これは、国際結婚をしている人たちには必ず訪れる問題ですし、その判断次第でその後の人生が大きく変わる問題です。私の家族はカナダにいて、彼女の家族は日本にいます。私の友達や同級生や幼馴染はみんなカナダにいて、彼女の場合はみんな日本にいます。どちらに住んだとしても、私たちどちらかの生活は犠牲になってしまいます。それは公平ではありませんね。でも、国際結婚をした夫婦はみんなその決断をしているのです。

話は戻って、なぜ私は日本に来たのか?私が妻と出会ったのは、カナダの大学時代です。彼女はカナダの大学に4年間通っていました。卒業を前に、私たちは2人の将来のことを相談しました。そして、まずは私も彼女の国の生活や文化、そして彼女の家族を知ることが大切だという結論に至り、毎年多くの大学卒業者がそうするように、私も1年だけ他の国で過ごそうと決めたわけです。それが2006年のことでした。しかし、私はまだ日本にいます。母にはいつも、「いつになったら帰ってくるの?」と聞かれます。「日本で暮らすのは1年だけの予定だったのでは?」と。日本に来た最初の1年、私と妻は将来のことや今後暮らす場所についていろいろと話し合いました。そして、いくつかの考えに至ったのです。

その1。私たちは子供が欲しいと思っていました。そして子供たちには複数の言語と文化を身につけて欲しいと思っていました。特に英語と日本語両方を話せるようになって欲しかった。どちらの家族ともコミュニケーションをとれるように。海をはさんで2つの家族がいることを知って欲しかったし、それぞれに違った文化があることを理解してほしかった。日本でなら、両方の言語を学べる。それが今後も日本で暮らそうと思った大きな理由の1つです。日本の英語教育は素晴らしいし、私たち両親も英語を話せる。カナダで暮らしながら日本語を教えるよりも、日本で暮らしながら英語を教える方が良いと思った訳です。

その2。私が日本になじめたという理由もあります。2007年の1月中旬、寒い日本に到着したときに、私はすでに日本が好きになりました。そしてそれ以来、日本や日本の人々に対する愛情はどんどん増しています。人は誰しも、自分にとって心地よい場所を探そうとしますが、私にとってはまさに日本がそんな場所だったのです。故郷が恋しくないかって?もちろんそう思うときもありますが、カナダにもときどき帰っていますし、家族や友達もたまにこちらに来てくれるときもカナダを感じられます。アイスホッケーもしてますし。日本でって?そうです。私の家から10分もかからないところにアイスホッケー場があるのです。私はチームに所属していて、毎週試合をしています。ホッケーの楽しさを共有できるチームメイトには、すごく感謝しています。カナダから7885km離れているここ日本でも、私はカナダやカナダの文化を感じることができているのです。

その3。私はずっと、教師になりたいと思っていました。日本には教師になるチャンスが溢れているし、教師は尊敬され、活躍しています。私にとって教師のキャリアを積むための格好の場所です。英会話教室、学校、大学・・・英語を教える場所も形もたくさんあります。生徒さんの目標をサポートし、生徒さんの才能を引き出すという仕事は、僕の人生の喜びです。そして必要とされていることも感じます。生徒さんがどんどん英語がうまくなっていくのを見るのは、何にも変えがたい喜びです。

・・・と、これほど詳しくお話しても、まだすべてを話しきれてはいません。なぜその決断をしたのか、なぜ私はそうすることが正しいと思うのか、私は常に考えています。その理由こそが、日本での生活や、日本のことを好きな理由を理解するカギとなるのです。

この記事が、今までご質問いただいた方へのお返事になれば嬉しく思います。